ともしび1

3人の社長がいた。









一人は、「一隅を照らす」という言葉が好きだった。






誰も注目しないような業務にもちゃんと取り組んでいた結果、

その姿を認められて社長にまでなったという、

ご本人の「照らされた」経験に基づく想いが含まれていたのかもしれない。




だからみんなも今置かれた場所で咲けばいいんだよという、

周囲への励ましの気持ちもあったかもしれない。









そうしてリーダーになったその方にとって、

ご自身はそれまでどおり、

「誰かに照らされる対象」であった。









その会社は相変わらず堅牢な財務基盤と、

同業他社が羨むような好業績を維持し続けている。






と同時に、

規模が大きいゆえにたちまちの影響は軽微なものの、

その会社からは櫛の歯が欠けるように、

ぽろぽろと社員が辞めていっている。




特に若い方々が。